iOSで耳鼻科の聴力検査の結果に基づいた音質を設定する
オージオグラムとは?
iOS14から「ヘッドフォンオーディオのカスタマイズ」で聴力検査の「オージオグラム」を使った音質の補正ができるようになっていたので試した。iOS15では、このオージオグラムがカメラなどから読み取れるようになった。
補正をする前に、耳鼻科に行って検査してもらう必要がある。私は2020年10月ごろに検査をしていたので、そのデータを使った。
オージオメーターによる検査はヘッドフォンを耳につけて、微小な音が聴こえたらボタンを押すものだ。健康診断などで経験した人も多いだろう。
これは私の検査結果で、このグラフをオージオグラムという。オージオメーターから感熱紙に印刷されたものだ。
○が右耳で×が左耳である。
iOS 15では、このオージオグラムの結果を読み取って自分の聴力に合わせたカスタムができる。
まずこの結果をスキャナや写真でiPhoneに取り込んでおく。私の場合は複合機のスキャナで読み取り、iCloud経由でiPhoneに送信した。
設定するには
ただしカスタムできるのはAirpodsやBeatsなどの対応イヤホン・ヘッドフォンのみだ。
設定するには、対応ヘッドフォンを接続した状態で、まず設定の「アクセシビリティ」から「オーディオ/ビジュアル」を選び、「ヘッドフォン調整」→「カスタムオーディオ設定」と進み、「続ける」を押す。
オージオグラムは自動で認識される
そうすると、オージオグラムを追加するかどうかを聞かれるので「オージオグラムを追加」をタップする。自動でオージオグラムが解析され、数値が認識されるが、私の場合いくつかのポイントが読み取れなかったため、自分で入力した。
そして「次へ」をタップしたところ、サンプル曲が流れ出して、カスタムされた設定になった。
サンプル曲は調整しやすいように、全帯域に渡ってまんべんなく電子楽器の音が敷き詰められていて、特に中〜高音域の比較がしやすくなっている。
補正をかけてみる
補正の有無の違いをチェックしたところ、「カスタム」では中高音域の騒がしさが「標準」よりも解消されている感じを受けた。
私の聴力は4kHz付近が良い結果となっていたので、その周辺の周波数を減衰させ、バランスをとっている可能性がある。
本来ならば補正前後の音声を録音して解析したいところではあるが、特定のハードウェア以外のBluetoothには適用されないので難しいところだ。
その他の設定
ヘッドフォンオーディオの設定に戻ると、4種類の調整から任意のものを選ぶことができる。全て試したところ、「バランスの取れたトーン」は先程の「標準」と同じような感じを受けた。
「音声の音域」は人間の声を聴きやすいように作られているようで、中音域が持ち上がって、サンプル曲を聴くと騒がしい印象があった。
「明るさ」を選択すると、高域が持ち上げられ、シャワシャワした音声になった。
音楽を聴くならば「オージオグラム」か「バランスの取れたトーン」が良い印象を受けた。その中でも「オージオグラム」による補正は「バランスの取れたトーン」より騒がしい部分が減って、すっきりとして聴き取りやすい印象があった。
ハイハットと思われる部分などが「バランスの取れたトーン」より静かになっているので、おそらく私の耳に過剰に聞こえすぎる4kHz域のアタック音などを落としているのだろう。
同時にしておきたい設定
「サウンドと触覚」→「ヘッドフォンの安全性」を開いてみよう。こちらには、ヘッドフォンやイヤホンによる難聴を防ぐための設定がある。「大きな音を抑える」のスイッチを入れ、75デシベルに設定すると、75dBを超える音がヘッドフォンやイヤホンから出なくなる。
ただ、Apple製以外のイヤホンやヘッドフォンではインピーダンスがわからなかったり、特性がわからなかったりするため、iPhone側では音の大きさは正確にはわからない。この機能はApple製のイヤホン・ヘッドフォンを使った時に最大の効果を発揮するのだろう。
耳鼻科に行って検査しよう
昨今ではリモートワークなどの普及で一日中イヤホンをつけたりすることも珍しくない。これによる難聴や外耳炎なども起きやすいものとなっている。
この機能は自分の聴力に合わせて音質の設定ができるため、音量をあげすぎたりすることも減る可能性があるし、このような便利な機能を使うために耳鼻科に行って聴力検査を受けて、聴力の異状などを見つける機会にしてみてはどうだろうか。