HBO「チェルノブイリ」を見た。割と面白かったのだが、動物を殺すところだけ涙が滲んだ。ところで、こういうドラマを見ると追体験したくなるのが私の性で、いろいろネットをあさっているうちに、チェルノブイリと同型のRBMK炉のシミュレータを見つけてしまった。
上記からダウンロードできる。かなり本格的で、プラントに携わった人じゃないと頭に入ってこないだろう。(私ももちろんプラントの仕組みなんてわからない)
さて、いろいろいじっていたらメルトダウンしたり、ラプチャーディスクが吹っ飛んだり、ポンプが壊れて$200(安!)くらい請求されたりしたので、きちんとマニュアルのPDFを読みながら操作していこうと思う。
https://www.simgenics.com/downloads/Chernobyl_The_Legacy_Continues_Information_and_Users_Guide.pdf
前準備
シミュレータをインストールして、起動する。まずは画面を整えるところからだ。起動した直後だと、最低限のウィンドウしか表示されない。
まずは、Overviewを表示しよう。すると、以下のようになるはずだ。
左上がTrendでチャート(グラフ)の表示、そのすぐ右がAlarm(警報など表示)で、左下が先ほど表示した「Overview」の図(Schematic)だ。
右側は操作盤で、適当にクリックするとその操作パネルが表示される。この例では「Water Treatment Pumps and Condensate Storage」のパネル(MAKEUP SYSTEM)を表示させたところだ。下に小さいウィンドウが見えるだろう。
なお、TrendウィンドウやAlarmウィンドウは最前面に表示のため、この後ろにほかのウィンドウが隠れてしまうことがあるのでご注意。
Alarmウィンドウは Ack をすることで点滅がなくなったり、メッセージを消すことができる。
さて、まずはこの画面ではじめよう。ちなみに、時間をそれなりに食うのでご注意。
原子炉のスタートアップ方法
復水貯蔵タンクに注水
Water Treatment Pumps and Condensate Storage を開き、
Pump-1, Pump-2 を START して、バルブを OPEN する
復水タンクを50%以上にする(時間かかる)
下の画像のピンクの数字は復水タンクの中の水位で、青く囲った赤い図がポンプ。赤は稼働中を示している。
なお、Overview図の黒い数字は流量を、ピンクの数字は水位を示している。
入れ終わったらポンプを切ってバルブを閉じること。Makeup waterはとても高い水らしい。
Hotwell Level を確認
0~左の図くらいならOK。マイナスの数字なら、次のステップ「ポンプを稼働させる」ができない。 CONDENSER HOTWELL LEVEL CONTROL を開き、 AUTO であることを確認する。
復水ポンプを稼働
CONDENSATE SYSTEM を開き、 DA LEVEL CONTROL を Manual に設定する。
DA FLOW VALVE を閉じる(0にセット)。
CONDENSATE PUMP を ON にしてポンプを稼働させる。Overviewウィンドウで右側のポンプ3台が赤くなり、稼働が確認できるだろう。
ポンプが稼働したことを作業員に確認に行かせる。確認出来たら、先ほどの DA LEVEL CONTROL を AUTO にセットする。
Polisher を稼働
CONDENSATE SYSTEM で
まずは Regenerate をしなければならない。Regenerate を押し、100から数字が減っていくので待つ。
0 になったら Polisher を IN にセットする。なお、使っていくうちにまた数字が増えていくので、Regenerate をしないといけない。
おそらくPolisherはイオン交換樹脂のことじゃないかと思っているがどうなんだろう。
復水循環ポンプを稼働
CONDENSER CIRCULATING WATER PUMPS で Pump-1, Pump-2 を ON にする。
HEPA Filter を開き、 IN かつ Close であることを確認する。
給水
FEEDWATER PUMPS AND SYSTEM を開き、
- Inlet Valves → Open
- Pump → ON
- Discharge Valves → Open
の順に操作する。2 はバルブが完全に開いてから、3 はポンプが稼働してからやること。
上で開いた Feed Pumps ウィンドウの下部に Drum Level Control があり、 3 ELEMENT CONTROL LIGHT が光っていたならクリックして消す。
もし点灯していなければ STARTUP VALVE をクリックする(上の画像では最初から点灯している)。
AUTO をクリックする。
非常用炉心冷却装置
EMERGENCY CORE COOLING SYSTEM を開き、AUTO にセットする。
自動スクラム制御
REACTOR POWER REGULATION を開き、 AUTO SCRAM CONTROL を ON にする。
主循環ポンプ
ついにループを起動できる。スタートアップは Loop-1 と Loop-2 の Pump-2 だけを起動する。
ポンプの起動方法は給水ポンプの時と同様、入力側のバルブを開き、完全に開いたらポンプを起動、そしてポンプが起動したら出力側のバルブを開く。
オフライン炉心冷却を停止
OFF-LINE CORE COOLING SYSTEM を開き、Outlet Valve を閉じ、次に Pump を停止する。
脱気器
ここまでくると、システムをウォームアップできる。
DEAERATOR STEAM SUPPLY を開き、AUTO、PRS SET POINTを 20 (と書いてあるが、20は選べないので25にした)、DA VENT VLV を 50% にする。
主蒸気ダンプ制御
MAIN STEAM DUMP CONTROL を開き、AUTO、SET POINT を 350 (と書いてあるが、500しか選べないので500にした)にセットする。
原子炉排水制御
REACTOR DRAIN CONTROL を開き、SETPOINT=4、AUTOにする。
ここまできたときに、燃料棒の温度や各種流水の温度が上がっているのがわかる。
この時点でタービン、発電系をいじることができる。
タービン補機系
TURBINE SUPPORT SYSTEMS を開き、潤滑油、油圧をスタート、蒸気ドレンをオープンさせる。Steam Sealはいまはスタートしない。
タービンのターニング
TURBINE CONTROL に行き、 TURNING GEAR ON する。
もしタービンがTRIPしていたら、RESETしないといけないかもしれない。
先ほどのTURBINE SUPPORT SYSTEMS を開き、Steam SealをSTARTする。
TURBINE CONTROL を開き RESET し、 SPEED SETPOINT が 900 になることを確認する。ならなければ、SteamのValveを操作する
自動制御
REACTOR POWER REGULATIONを開き、 AUTOMATIC REACTOR CONTROL を ON にする。 POWER SETPOINT を5%にセットする。
制御棒
ABSORBER ROD CONTROL を開き、 CENTER CORE ONLYをクリックして赤く点灯させる。
s/m/f は slow, medium, fast で、制御棒を操作する速度で、最初は f で操作し、中性子束 (Neutron flux)が急激に増えてきたら低速に切り替える。
PULL Rods が制御棒を引き抜くボタンになる。Holdはその位置で停止、INSERT RODSが制御棒をブチ込むボタンだ。
fast のまま引き抜いていくと、炉心が溶融し(メルトダウン)するか、自動スクラムがONの場合、自動でスクラムして制御棒が強制的に突っ込まれてしまう。
なお、このゲームはメルトダウンを引き起こすとアプリケーションが閉じられてしまい、いままでの作業は水の泡、まさにvoidになる。
そのため、ここからは慎重さが大事になる。
安全に臨界状態にもっていくために、いろいろと体制を整えていく。まずは、ステータス画面を表示しておく。
この画面について説明しておこう。
この画面はNeutron Rate(白)、中性子束(水色)ほかに原子炉・ホットウェル水位、熱出力(灰色)などの情報をグラフで表示してくれるものだ。
とくに白と水色、灰色が重要で、これをみながら制御棒を引き抜くことになる。
引き抜こう。f (高速)でPull Rods を行い、Neutron Rate(白)が急激に増え始め、 negative log fluxが-4.00周辺になったところでs (低速)に切り替える。
私の場合、キセノンオーバーライドのせいか知らないが、中央の制御棒を全部抜くだけでは臨界に達しなかったので、外側の制御棒も抜いた。
しかし全部の制御棒を抜いても臨界に達しなかったので、何かがおかしい気がする。前回やったときは、余裕で臨界に達して、メルトダウンまでいったのだが。
ちなみに、制御棒を刺したとき、一瞬反応が増えるというRBMK特有の欠陥も再現されているようだ。
この手順はいちおうマニュアルを読んでいますが、飛ばしたり間違っている可能性があるので、原子炉を運転する際はマニュアルPDFをよく読んでくださいね。